潰瘍性大腸炎とは? | |
大腸の粘膜ににびらんや潰瘍が出来る大腸の炎症性疾患です。特徴的な症状としては、下血を伴うまたは伴わない下痢とよく起こる腹痛です。病変は直腸から連続的に、そして上行性(口側)に広がる性質があり、最大で直腸から結腸全体に拡がります。 | |
どのような人に多いのか? | |
患者数は約13万人、人口10万人あたり100人程度であり、米国の半分以下です。 発症年齢のピークは男性で20〜24歳、女性25〜29歳にみられますが、若年者から高齢者まで発症します。男女比はほとんどありません。 何らかの遺伝的因子が関与していると考えられていますが、現時点では明快な回答はまだ得られていません。遺伝的要因と食生活などの環境因子が複雑に絡み合って発病するものと考えられています。 |
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症状と診断 | |
下痢(便が軟らかくなって、回数が増えること)や血便が認められます。痙攣性または、持続的な腹痛を伴うこともあります。重症になると、発熱、体重減少、貧血などの全身症状が起こります。腸管以外の症状として、皮膚、関節や目の症状が出現することもあります。 診断は、症状の経過と病歴などを聞き 最初に血性下痢を引き起こす感染症と区別します。その後、X線や内視鏡による大腸検査を受けます。さらに、生検と言われる病理検査を行います。このようにして 類似した症状を呈する他の大腸疾患と区別され確定診断されます。 |
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治療法について | |
潰瘍性大腸炎を完治に導く内科的治療法はありませんが、腸の炎症を抑える有効な薬物治療は存在します。治療の目的は大腸粘膜の異常な炎症を抑え、症状をコントロールすることです。 薬物療法は、 5-アミノサリチル酸(5-ASA)を基本薬として、副腎皮質ステロイドや免疫調整薬などを組み合わせて使用しますが、基本薬でうまくコントロールできない場合、血球成分除去療法や、新しい免疫抑制剤や抗TNF-α抗体製剤等を使うこともあります 多くの場合は、内科的治療で改善しますが、重症例では外科手術が行われる事もあります。 また、再発する場合も多く、寛解を維持するために継続的な治療が必要です。なかには発病して7〜8年すると大腸癌を合併する患者さんも出てきますので、症状がなくても定期的な内視鏡検査が必要になります。 治療は長期に渡ることが多く、原因もわかっていないため特定疾患医療受給者証を受けることができます。 診断が確定した場合最寄りの保健所へ書類を提出することにより、医療受給者証を交付され患者さんの自己負担が軽減されます。 |