急性虫垂炎 | |
虫垂炎は、盲腸に開口している虫垂の炎症で俗に盲腸炎と言われている病気です。 右下腹部が痛いと虫垂炎を心配して病院に来院されます。しかし、急性虫垂炎の初期症状としては、吐き気や胃の痛み、胃の不快感で始まることが多く、この頃病院を受診すると胃炎と診断される事も多いです。 2〜3日すると胃炎の治療を特に行わなくても胃の症状は消えていき、徐々に右下腹部に痛みを感じるようになる事が多いですが、高熱が出ることはあまりなく、下痢や便秘も出たり でなかったりで特徴的な腸炎の症状は、あまりみられません。 |
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急性虫垂炎と他の消化器疾患との区別 | |
腹痛と下痢で受診される方は、感染性の腸炎【特に冬場ならノロウイルス感染症】を心配して受診される方が多いのですが ノロウイルス感染症は、発熱を伴って半日で10回以上に及ぶ激しい下痢が特徴です。なまもの、特に牡蠣や貝類の食事歴が無く、家族や身近な方に同様に症状のある方との接触が無ければさらに、考えにくいです。 胃のあたりから症状が始まり、数日後に右下腹部が痛むという症状の出方は、虫垂がある回盲部近くの病気によく見られるので覚えておいていただくとよいと思われます。 診察前の問診で、このような訴えがあり、食事歴にたいしたものが無く 海外渡航歴や、動物の飼育が無く、体温が37℃台かもしくは発熱が無い、10回以上の下痢もない、数回嘔吐したけれどましになってきていると言うような状態であれば、胃腸炎と、急性虫垂炎を含む回盲周囲炎を思い浮かべながらおなかのしんさつをします。 回盲周囲の病気には 憩室炎、回盲炎、回腸炎などの腸の病気や 女性ではさらに 卵巣、卵管の炎症や出血などがあり これらの病気と急性虫垂炎との鑑別は診察だけでは無理です。 手術のタイミングをはずさないために、当院での仕事はここまでとし後は、総合病院の外科に紹介をさせていただきます。これ以上の検査(腹部造影CT)を必要とする所見があれば 当院で出来る超音波検査をするのは、時間とお金の無駄になるのでおこなわないようにしています。 |
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セルフチェックの仕方 | |
お腹の診察は皆さんにも出来ますので セルフチェックとして行ってみてください。 仰向けに寝て、出来るだけお腹の力を抜いて軽く指先で全体を弾いていってください。 次にへそと右骨盤の骨を結んだ線の骨盤側3分の1の点(マックバーネの圧痛点)を指先でお腹がへこむくらい押さえてぱっと離してみてください。押さえたときと、離したときの痛みの程度を比べてみてください。離したときの方が痛ければ回盲部の炎症かもしれません。 あくまでも一つの目安ですので、疑わしい時は医師に相談しましょう。 |